小説 クルミ、リク①「4213」

 この街にはすでに飽きてしまった。
それに比べてあの街は素晴らしい。毎日が面白い事に溢れ、愛しがいのある個性的な人々が集まっている。
―ただ一人を除いては、の話だが―
「今日は会いませんように、っと。」
信じてもいない神に祈り、いつもの黒いファーコートをはおる。
「波江さん、出かけるから留守番よろしくね。」
波江と呼ばれた黒髪の女性は興味無さげに、
「そう。」
と、そっけなく返事をした。
彼女のそんな態度に、苦笑いしながらも、
『折原臨也』は楽しそうにドアを開け、
あの街、『池袋』に向かった。

続く